鍾馗さんとは唐の時代に皇帝が病に伏している時に、夢の中に現れた鬼を鍾馗と名乗る髭面の大男が退治し、病気が完治したことから「鬼より強い鍾馗さん」として疫病神を祓い、魔を取り除く家庭の守り神として祭られるようになったのが始まりのようです。
そして、こんなエピソードもありました。昔、京都三条にある薬屋が大きな家を建てた際、屋根に大きな鬼瓦を据えたそうです。その鬼瓦を見た、向かいの家の娘が、その鬼に常に睨まれているような気がして夜ごとうなされ、ついには病気になって寝込んでしまったのです。家族は病気を治すために、様々な手をつくしたけれど、一向に良くならないので娘が言う、その鬼瓦を取り外してくれないかと、薬屋に頼んだのですが、薬屋には大金を払って取り付けた鬼瓦なので外す事はできない!と言われてしまいました。そこで家族は鬼に勝つものは何か?と考え、中国の伝説にならい鐘馗さんの瓦を特別につくってもらい屋根に置いたそうです。すると、娘の病はすっかり回復したといいます。これが鍾馗さんを屋根の上に飾るようになった由縁だそうです。そして、今では隣家の鬼瓦に対するというよりも、自分の家に降りかかる邪気を祓い、守るために取り付けられることが多くなっているようです(参考:淡路瓦タツミさんのHPより引用)。
鍾馗さんのエピソードに薬屋が出てくるのには驚きましたが(あまりいい印象ではありませんでしたが)、疫病神を祓う守り神と言えば、今はアマビエさんが有名ですが、鍾馗さんにもそれ以上の御利益がありそうですね。薬新堂の屋根の上に鎮座している半世紀以上も前に作られた鍾馗さんもこんな新型コロナウィルスの流行は想像もしていなかったでしょうが、奇しくも今回の改装で久々にその姿を拝み、新型コロナウィルスの終息をお祈りしました。
そして、これからも原因不明の疫病の守り神として、慢性病で悩む病人さんたちの病邪を排除し、みなさんの健康を守ってくれることでしょう。